第2話
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「消防によると昨日、金沢の犀川河川敷で起こったガス爆発は、使用されていたガス器具が何らかの不具合を起こしたために引き起こされた事故であるとのことです。警察は当時ガス器具を使用していた人物の回復を待って詳しい事情を聞くこととしています。」
ベッドから身を起こしてテレビを付けると、昨日の犀川での爆発事件の様子が全国ニュースで報じられていた。
「同時に警察は、自爆テロとしてSNSでデマが流布されたことに重大な関心を示し、当時の投稿動画などの分析を行っています。」
テレビを背にした椎名はノートパソコンを開いた。
そしてデスクトップ上のとあるフォルダを丸ごとゴミ箱に入れてそれを空にした。
続いて動画編集ソフトをアンインストールした。
パソコンの下部に表示されている時刻は8時半だった。
「さてと…。」
寝癖頭をボリボリと掻いて、彼は洗面所に向かった。
水を流す音
歯を磨く音
顔を洗う音
ふと鏡に映り込む自分の顔を見ると、目の下にくまが出ていた。
鏡に顔を近づけると自分の顔にシワらしきものの片鱗が現れていることに気がついた。
携帯のバイブの音
携帯を手にした彼はそれに出た。
「おはようございます。」
「あれ。今日はなんか元気ですね。」
「いえ…そんなことありません。」
「今日もよろしくおねがいします。」
「ええ。いつも通り伺います。」
「じゃあよろしくおねがいします。」
「はい。よろしくおねがいします。」
携帯をテーブルの上においた彼は…