第11話
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自宅に帰って来た椎名は着替えてそのままベッドの上に寝転んだ。
「なんか寒いな…。」
ボソリと独り言をつぶやいて頭から羽毛布団をかぶった彼はその中で携スマートフォンを操作し始めた。
SNSアプリを立ち上げ、チャットのような画面を表示させるとテキストを打ち始めた。
「お世話になっております。第一回放送分のプレビュー版は今週末にはお見せできます。」
間もなく京子からレスポンスがあった。
「了解です。データはストレージサービスを利用するか何かで送ってもらえますか。」
「いや、ちょっと容量が大きいので、直接お渡ししたほうが確実かと思います。」
「わかりました。DVDに焼いてください。弊社はUSBでのデータ受けは禁止されていますので。」
「かしこまりました。どこでデータの受け渡しをすればよろしいですか。ご指示ください。」
「休日にわざわざ弊社までご足労をいただくのは恐縮ですので、私がご自宅まで取りに伺います。」
「家はちょっと…。」
「じゃあ近くのどこかで。」
「またBOCTOKにしましょうか。」
「いいですよ。」
日時を改めて確認し、椎名は携帯をスリープ状態にした。
そしてベッドから身を起こして部屋の電気を切り、再びそこに潜り込んだ。
布団を頭からかぶった彼は枕の下を指で探り、何かを掴んだ。
そしてスマートフォンのSIMカードを抜き取って今掴んだものを差し込み、再びそれを見る。
今度は京子とやり取りしたものとは別のSNSアプリを立ち上げ、それ…