第41話
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「おい…。おい…。」
薄っすらと開いた目にぼんやりと人影が映る。
「大丈夫か。いい加減起きてくれ。」
ー起きる?何言ってんだ。俺は起きてるよ。
ゆっさゆっさと自分の体が揺さぶられているのに気がついた。
「おい。しっかりしてくれ。なぁ。」
ーあーめんどくさいなぁ…こいつ…そっとしてくれよ…。」
「おい!」
ビンタの音
頬がじんわりと熱を持っている。
そこに手のひらをあてがった彼はゆっくりと目を開いた。
男がこちらを覗き込んでいた。
「あ…。」
「あ…じゃないだろ…。大丈夫かよお前…。」
「あれ…。俺…こんなところで何やってんだ…。」
「え?」
「俺、なに…まさか寝てた?」
「あぁ…死んだように寝てたよ。」
「いつの間に…。」
あまりにも呆然とした表情の彼の様子が気になった。
「おい、お前俺のことはわかるか?」
「あ、あぁ…。」
「俺の名前は。」
「…ビショップ。」
「はぁ…よかった…。」
空閑はひとまず安堵の表情を見せた。
「随分疲れてるんだな。何やっても何の反応もしなかったんだぜ。本当に死んだのかと思った。」
「あ…すまない…。俺、全然記憶ないんだ。車に乗って、金沢駅の門を見上げて、目的地の場所をカーナビで見て…。」
「金沢の観光プロモーションビデオをカーナビに表示して、お前に見てもらってたらいきなり寝落ち。」
「え?」
「えって…本当に記憶ないんだな。」
…