第39話

3-39.mp3 「は?消えていっとる?」 「はい…。」 「どういうことや。」 IT捜査官はパソコンの画面を片倉に見せた。 「これが我々が昨日見ていたSNS上のコメントです。『ウ・ダバ 池袋 犯行声明』でフィルタリングしています。ご覧の通り、例のツヴァイスタン語の映像はウ・ダバ犯行声明だってことで次から次へと拡散されています。ちなみに関連するコメント数は10万です。」 「うん。」 「…でこちらが現在のもの。先ほどと同じようにフィルタリングすると…。」 「…なんじゃこりゃ。該当する件数がぐんと減っとるがいや。」 「はい。わずか200件。つまりこの数時間内で出本のコメントはおろか、それを拡散した二次三次のコメントの存在も消え去っているってわけです。」 「こんなことって…。」 「あります。」 「え?」 「ロシアの方で当初普及した『消えるSNS』ってやつです。」 「消えるSNS?」 「はい。」 「消えるSNSってなにが良いんや。」 「SNSサーバー上の痕跡を消すので、秘匿性の高い情報をやり取りするには便利です。たとえばビジネスのやり取りをするとか、いかがわしいことをやりとりするとか…。とにかくSNS上の情報が一定の時間経過後忽然と姿を消すんですから、けっこう過激な内容があります。」 「ふうん。」 「今回のこの動画が拡散したSNSの問題は、その消える機能が実装されていないにもかかわらず、何らかの原因でコメントが消え去ったって点です。」 「そうやな。」 「…

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