第40話

3-40.mp3 「着いたぞ。」 車を止めてエンジンを切り、助手席の方を見るもそこに座る朝戸は深い眠りに着いたままだった。 「ふぅ…。」 ため息を付いた空閑はシートベルトを外し、車の外に出た。 雨が降っていた。 ここはひがし茶屋街や主計町といった金沢の町家建築が立ち並ぶ観光エリア東山。 大通りから一本筋を入ったところに、昭和の薫りが立ち上る場所がある。 朝戸が泊まる宿はここにあった。 携帯操作音 「すまない。仕事中に。」 「な んだ 。」 「ちょっとだけ聞きたいんだけどさ。すっげー寝てるんだけど…。これ大丈夫?」 「…仕方 ないよ。」 「問題ないんだ。」 「う ん。」 「わかった。ありがとう。」 「あ。」 「うん?」 「早め に 見せて…。」 「あぁそうだね。」 「悪い影響が。」 「分かってる。すぐに連れて行くよ。」 携帯切る 死んだように眠る朝戸を空閑は見つめた。 「死んだはずの妹がそこで生活を営んでいる。そんなもん見たらむしろこいつの精神状態がおかしくなりやしないか…。」 「クイーンのやつもナイトのことになると正常な判断が鈍る傾向があるみたいだ。」 「あの人のように…。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ドアを開く音 足音コツコツ 椅子に座る 「すまんな。迷惑をかけている。」 「そうですね大迷惑です。」 百目鬼の目の前にガラス越しで座る松永の頬はこけ、目の下…

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