第47話
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何の応答もない。
ー留守か…。
手をかけて扉を引くと、それはすんなりと開いた。
ーえっどういうこと…。
「天宮さーん。すいませーん。」
返事がない。
「こんにちはー。天宮さーん。郵便でーす。」
確認のため再度呼びかけるも反応はなかった。
扉の隙間から見える玄関の様子は古田が言っていたとおりの散らかり様だ。
老年の男がひとりで生活を営んでるとは到底思えないほど種々雑多な履物類が散乱している。
男物の草履のようなものがあると思えば、若年層が履きそうなスニーカー類もある。
はたまた女性もののパンプスがあったり、ブーツのようなものもあった。
ーどれもいうほど埃をかぶっていないな…。それにしてもなんでこんなにいろんな靴があるんや。こんだけの人間がいっつもこの家に出入りしとるとも思えんし…。
とにかく鍵をかけずに留守というのは不用心極まりない。
だからといって無断で住居に入って、留守番をするなんてこともできない。
ー困ったな…。
相馬はその場で電話をかけた。
「あ、古田さん。」
「おうどうした。」
「いま天宮の自宅の前にいるんですが、留守なんです。」
「あ?もうどっか行ったか。」
「まぁたぶんそうなんでしょうけど、鍵空いとるんです。」
「え?」
「玄関扉に鍵かかっとらんのです。んで呼びかけても何の返事もないんです。どうします?」
「不用心な…。部屋の散らかり様もそうやけど、そこんところま…