第54話
3-54.mp3
「なんで…嘘でしょ…。」
物陰に身を潜めた木下は体の震えが止まらなかった。
ー千草ってあの子、学生でしょ…。光定先生、あの子に何やってんの…。
ー曽我を消せって…。曽我ってあの曽我先生?
ービショップってなに?天宮先生が死んだ?証拠隠滅?
ーってか光定先生、様子が変だよ。普通に喋れるじゃん…。
「あれ?」
「ひいぃぃぃ!」
木下は手にしていた封筒が入っている段ボール箱を落としてしまった。
「はぁはぁはぁ…。」
「き…木下くん?」
「み…光定先生…。」
「ど…うしたの?様子…変だよ…。」
「あ…あぁ…ははは…。ちょちょっとあの、書類保存用の封筒が切れちゃって、備品庫に用があって。」
「あの…それは見ればわかるけど…。」
「あ…あぁ…そうですね。」
「なんでそんなにビビってるんだって聞いてるの。」
光定の声色が変わった。
「あの…その…。」
「何にビビってんのさ。」
「せ…先生!」
急に大きな声を出した木下に光定は一瞬怯んだ。
「な…なに…。」
「普通に喋れるんだったら普通にしてください。」
「え?」
「いま先生、なにビビってんだって私に行った時、普通でした。かなり怖かったけど。」
「あ…あ、そう。」
「こんなところで電話するなんて誰だろうって思ったら光定先生で、でも言葉に詰まる感じもなくて鼻もすするわけじゃなくて普通に話してて意味わかんなくて、混乱してました。そこで急に先生に声かけられて…