第53話

3-53.mp3 昼食を終え、裏口から病院内に入ろうとしたとき、寝袋のようなものに包まれたものがストレッチャーに乗せられて運ばれている事に気がついた。 ー検死…。 「痛っ…。」 結構な勢いで肩がぶつかったため、光定はよろけた。 「あ!すいません。」 彼は咄嗟によろめく光定の体を受け止めた。 「おっとっと…すいません。ちょっと急いでて…。」 「い…え…。」 お互いが胸につけているネームプレートを見る。 光定に体当たりをしてきたのは法医学の助教だった。 「あ、光定先生ですか。」 「あ…はい…。」 彼は改めて光定と正対した。 「残念です…。」 「え?」 「そうですか…先生は…まだご存じないんですね。」 「なん…のこ…と?」 「天宮先生です。」 「え…?」 「いま運ばれていったの天宮先生のですよ。」 「え…ちょっとまって…。どういうこと?」 「わかりません。いまから自分が検死しますんで。」 光定はとっさに彼の手を掴んだ。 「ちょ…先生。本当に自分今すぐ行かないと。」 「なんで先生が?」 「だからわからないんです。まぁ警察からの話ですと自宅で洗面器に顔を突っ込んで死んでたそうです。」 「え…それって自分で?」 「普通に考えたらそんな死に方できません。」 「…まさか。」 「だからそれを調べるんですよ。」 光定の手を振り払った彼は、駆け足でその場から立ち去った。 ー天宮先生が…殺された…だ…

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