第85話

3-85.mp3 ベッドに横になったまま空閑はスマホの画面に指を滑らしていた。 「あれ?」 ちゃんねるフリーダムのアーカイブ動画の一つをタップすると「諸般の事情で配信を一時的に停止します。再開の目処がたった段階で改めてお知らせします。」との表示が出た。 「なんだこれ…どうしたんだ。」 ベッドから身を起こした空閑は他の動画を確認した。 普通に再生されるものもあれば、今ほどのテキストが表示され、動画が再生されないものもある。 「メンテナンスでも入ったのか…。」 彼は歯噛みした。 「糞が…よりによってなんでこのタイミングで…。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 車内の音 ーやっぱりだ…。 ルームミラーに目をやった椎名は心のなかでつぶやいた。 ー昨日から急に俺への監視が強化されてる。公安特課の連中、何を知った…。 ミラー越しに見えるのはどこにでもいるような白の商用車。 ワイシャツにネクタイときっちりとした格好の中年男性が、姿勢良く運転している。 ーこの監視体制。もうウチの会社とかちゃんフリの方まで聞き取り入ってるかもな。 ハンドルを切った椎名は通りに面した駐車場に車を滑り込ませた。 ーま、時間の問題か。 携帯のSIMを入れ替えた彼は鞄を担いで車から降りた。 瞬間、前方20m先に妙な気配を感じた。 さり気なくそちらの方に目をやると競技用のものと思われる自転車にま…

続きを読む