第86話

3-86.mp3 「はい。間違いなく中村文也は石川大学病院部総務人事課の人間です。」 「わかった。スクリーンショットでいい。送ってくれ。」 「はい。」 紀伊は言われたとおり、画面に表示されるそれを送った。 「ところで百目鬼はどうだ。」 「班長をよく思っていない様子です。」 「そうか。」 「はい。自分に班長の代わりを担わせたい的なことをほのめかしてらっしゃいました。」 「それは良かったじゃないか。」 「…いえ。」 「どうした?あまりパッとしない様子だな。」 「…そこで相談したいことがありまして。」 「何だ。」 「あの…ここではちょっと…。」 「わかった。あれで。」 「了解。」 席を外した紀伊はトイレの個室に移動し、SNSを立ち上げた。 「何かと目障りな片倉班長を排斥する動きを見せる百目鬼理事官はこちら側の人間なんでしょうか?」 「わからん。」 「じゃあ…なんで…。」 「どうした。何があった。」 「理事官は新宿のマル被の記憶がおかしいことについて、捜一はすでに手がかりを掴んでいるはず。なのに捜査は一向に進展していないのはおかしいといっています。」 「なに?捜一はすでに手がかりを掴んでいるだと。」 「はい。」 「まさか奴はすでに鍋島能力のことを知っていると?」 「おそらくそうではないかと…。石川のやつとか言ってましたんで。」 「いつそれを…。」 「我々のような一部の人間しか未だ知らないはずのあれを理事官は知っている。となると百目…

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