109 第97話
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「話が違うだろうが。」
「電話かけてくるのは止めてくれって言ったはずだが。」
「緊急事態に馬鹿丁寧にSNSでクレームつけるバカが居るか!」
声を荒げて電話をかけるのはちゃんねるフリーダムカメラデスクの安井隆道だ。
彼は犀川の河川敷に立ち、雨音と川の流れの音によって自分の声が他人に聞かれないよう配慮をしていた。
「身内には被害者は出さないって約束だっただろうが。」
「出さない。そういう事になっている。」
「そういう事になってないから電話してんだよ!」
「なんだって?」
「その反応…。まさかあんた…。」
「え?何?何があったんだ。」
安井は深くため息をつく。
「はぁー…。」
「何が…。」
「三波が行方不明になった。」
「え!?」
「理由はわからん。でも察しはつく。俺らのことを探ったんだろうさ。」
「我々のことを探る…。」
「そろそろ潮時だってのは、俺から椎名には伝えた。三波とか黒田とかが俺の周辺を探り出しているってな。」
「ってことは、まさかキングが…。」
「ふぅ…あのさ、そのキングとかってニックネームか何かは知らねぇけどさ。話がややこしくなるから俺の前では椎名って名前でアイツのこと呼んでくれないかな。」
「あ…あぁ。」
「で、なんでその椎名が三波を巻き込むんだ?」
「いや待って。この件は私もいま初めて知ったんだ。」
「いやいや、あんたが初めて知ったとかそんなことはどうでもいいの。大川さん、とにかく俺があんたや椎名…